我が子を保育園に預けるということ

子どもの体力

東京都教育委員会が平成22年7月に発表した「子どもの体力向上大作戦!」

当時、大変興味深くその資料や取り組み報告を読んだ覚えがあります。

このタイトルがまた良いですよね(#^^#)

 

全国的に、児童・生徒の体力・運動機能は昭和50年代をピークに、その後長期的に低下傾向にあり、

とりわけ東京都の児童・生徒は全国平均を大きく下回っているそうです。

 

この児童・生徒の数年前は、もちろん乳児・幼児でした。

まさに、とこちゃんでお預かりしているお子さんということです。

そこで、この問題は小学校だけの問題ではなく、保育園からも何かできることはないかと思いました。

 

調べてみると、東京都のみならず神奈川県も子どもの体力低下結果は同様に報告されています。

その原因は様々ですが、子どもを取り巻く環境(スポーツや外遊びに必要な時間、空間、仲間の減少)や、生活習慣(食生活、睡眠の乱れ、洋式便座、椅子)が大きいと言われています。

 

たしかに、幼児の生活を見てみると、移動は自動車・自転車のチャイルドシートやベビーカーまたは抱っこ、今は長時間抱っこしても負担の少ない抱っこひももあります。

 

休日のおでかけ例:自動車で出発⇒現地で抱っこまたはベビーカー⇒自動車で移動⇒買い物中はカート⇒自動車で帰宅。

 

このおでかけ例を見ると、歩けるようになった子どもであっても、外出中はまったく歩いていませんね。

日中、歩いたりハイハイしたりする時間が少ないと、夜ぐっすり睡眠できない⇒食欲もないとなっていきます。

 

世の中が便利になればなるほど子どもの体力は低下していくという

実は現代の子どもを取り巻く環境は体力低下の観点からみると「危機的状態」なのだということを

大人たちは意識していく必要があるのではないかと感じています。

 

そこで、とこちゃんでも毎日無理なく子どもたちの体力向上に向けてできることはなんだろうと考えました。

微々たるものかもしれませんが、それを意識するかしないかで子どもたちの将来の体力につながると思うと夢のある取り組みです。

というわけで、何年も前から取り組み例を2つをご紹介します。

 

その1、毎日少しでも正座をする。

正座は脚力向上につながります。正しい姿勢もとりやすくなります。

2歳児以上はあえて座卓で、床に直接着座(正座)して食事をすることで、姿勢を正す=胃の中に食べ物が吸収しやすくなります。

 

その2、よく歩く。

とこちゃんの近くには立派な公園がありますが、その日の健康状態・天候・職員配置等を見ながら

あえて距離のある公園まで歩きます。その積み重ねで・・・

2歳児・秋のおいもほりでは、畑までの距離片道およそ1時間(往復2時間)を歩けるようになります。

 

え?こんなこと?

すみません、胸を張って何かやってますというレベルではないですね。

これからもっと無理なく毎日できることはないか、考えていきたいと思います。

ただ、こんなことでも毎日積み重ねていけば少しは体力向上につながるかなと思っています。

 

運動活動に注力している保育園では、もう間違いなく生活全般が体力向上につながっていくことでしょう。

園全体の環境も、運動機能の発達を目的に構成されていることと思います。

では、一般的な保育園ではどうでしょうか。

 

まず、保育園という場所は、家庭に比べて基本的に空間が広いですよね。

とこちゃんのように小規模施設であっても、ご家庭のリビングに比べたら広いと思います。

その保育室の中を、子どもたちは毎日行ったり来たり歩いています。ハイハイしています。

手を洗う、トイレに行く、おもちゃを取りに行く、生活の目的を果たすためには自分で歩かなければなりません。

 

次に、保育園は家庭にはない物があります。

とこちゃんのように家庭的保育施設であっても、ご家庭にない物がたくさんあります。

3口の蛇口がついた手洗い場は、まさに子どもから見たら、それはそれは「興味深く・触ってみたい意欲」にスイッチが入る代物だと思います。

トイレもそう、子ども用のトイレが2つも3つも!おうちにはさすがにないものなので、ぜひとも座ってみたくなることでしょう。

そしてもちろん、おうちにはないおもちゃ量。

触れたい、触りたい、遊んでみたい、この欲求を満たすためにはそこへ歩いて(ハイハイで)行って、手を伸ばして、背伸びをして・・と、必然的に身体を、筋肉を動かさなければなりません。

 

そして、最大の「保育園にはあって家庭にはないもの」は、友だちと先生!

友だちと遊びたい、友だちの持ってるおもちゃが欲しいと思えば身体が動きます。

先生と走りたい、先生に抱っこしてほしい、友だちより早く先生のおひざに座りたいと思えば必然的に機敏な動きもするようになります。

 

また、ほとんどの保育園では戸外遊びやお散歩の時間が設定されています。

園庭のある園は毎日園庭で、時には近隣の公園までお散歩へ。

園庭のない園は近隣公園や駅周辺をお散歩、商店街めぐり、図書館等へ。

雨天なら室内でできる運動遊びやリズム遊び、ダンス等を行う園も多いようです。

そう考えると、当然ながら日々の運動量は一定的に保たれていますし、体力を向上するための「休息」(昼寝)も保育園では確実に行います。

 

保育園を運営して10年以上たちましたが、保育士として運営者としてつくづく感じます。

保育園は、その環境自体が「子どもの体力を向上させるものだ」ということを。

そして、体力の基礎作りは「赤ちゃんの頃から」始まっているのではないかと感じています。

小学校からの「体力向上大作戦」では、やや遅いのではないかと考えています。

 

子どもの体力向上大作戦は、ぜひ乳児から始めたい。

そういう局面から「我が子を保育園に預けるということ」を見つめるのもひとつではないかと感じています。