よしこ先生のここだけの話

最近のニュースについて③保育士確保策

保育士が足りないんです。

保育士の待遇が悪いんです。

そんなやりとりが連日報道されています。

保育士の待遇は他の職業に比べて低いです。この報道、間違っていません。

お子様の、しかも大勢の、尊い命を毎日毎日お預かりする仕事です。

その神経の使い方は尋常じゃありません。

体力の消耗度も皆様の想像を遥かに超える自信あります。

さらに保育士の仕事は、子どもの安全を守るという役目だけではありません。

安全を確保するのは当たり前、でも、その当たり前のこと=【安全確保】を当たり前に守ることだけでもそのために必要な仕事は多岐に渡ります。

他にも、衛生・食事・遊び・排泄・睡眠・人や自然との関わり・・・様々な発達を保障するための準備も欠かせません。

保育過程・年間計画・月計画・週計画・日案・個別計画・個別記録・・・・書類量も膨大です。

専門的視点から一人ひとりのお子さんの発達段階や特性を尊重しつつ、更なる育ちにつながりますように。

同時進行で、行事の準備、会議、日々の個別記録、保育記録、反省、自己評価、そして保護者とのコミュニケーション。

また、医療や介護同様、保育の世界も日々進化しているので専門知識を学ぶ時間も必要です。

なぜ、こんなに重責なのに給料が見合わないのか。

私が保育の仕事に就いた20年以上前から、このことはうっすらと問題視されていましたが

(保母と教員の格差等~仕事量はさほど変わらないのに待遇の格差が大きすぎる、等)

近年、待機児童問題が注目されるようになってから、ようやく「保育士の処遇改善」に矛先が向けられました。

 

ハッキリ言って、気づくの遅い!!

保育士の待遇の低さ、もっと早く行政が注目してもっと早くに改善していればこんなことにはならなかったのに!

 

待遇は悪い、なのに責任は重い、専門性は高い、仕事量は多い、有給はとれない、残業当たり前。

保育士は子どもが大好きな優しい人というイメージがあると思います。

実際にそうです。どこかにボランティア精神のようなものがあるのはたしかです。

しかし、天使ではありません。聖母でもない。

生活をしていかなければならない人間です。

重責と低賃金に愛想つかして離れていった保育士仲間が何人いたことでしょう。

子ども好きだからというだけで保育士を続けることはできないのが現実です。

 

今回の見直しで大幅な処遇改善を期待していましたが、4月27日付の新聞によると大幅な改善は厳しい模様です。

保育士を確保しなければ保育園は増やせないのです。

勤続年数の長い保育士がいなければ保育の質は向上できなのです。

現保育士の処遇が大幅に改善されたなら(例えば月額数万円単位で昇給等)

この問題は急速に解決へと導かれるのではないでしょうか。

一方、そのための財源確保、全国で保育士の処遇改善をするにはどこかにひずみが出てしまうことを考えるとやはりやむを得ないのかなとも思います。

しかし、このくらい思い切った改善策を打ち出さない限り、保育士不足問題=待機児童問題は一向に解決しないと思われます。

 

では、このような時代に、とこちゃんでは保育士確保に向けてどんな取り組みをしているかを少しご紹介します。

とこちゃんは大規模園に比べれば、待遇も福利厚生ももちろん小規模です。

大手企業のように立派な宿泊施設や研修施設があるわけでもなく、大手保育園のように最新式の職員用ロッカーがあるわけでもありません。

ではなぜ今の保育士数を確保できているのか。

 

第一に「保育士としてのやりがい」を実感しやすいからではないかと感じています。

小規模ということは園児数も職員数も限りがあります。

限られた空間、限られた人数で日々生活すると、心が通い合うのです。

一人ひとりのお子さんのわずかな成長も見逃すことなくすぐそばで見ることができます。

深い関わりをとおして、先生たちは子どもたちのことがかわいくてかわいくて、毎日みんなに会えることが楽しくて楽しくて、気づけば夢中になって保育をしています。

大人数でももちろんそれは同じだとは思いますが、大人数の大規模園も経験し、今の小規模園も経験している保育士はみな「子どもたちと深いかかわりをしたい」「丁寧な保育をしたい」と言います。(私も同感です。)

園児数が少なければ、それだけ先生の目も心も行き届くので子どもたちも安定しますし、先生たちも安定した保育ができるというしくみです。

というわけで、小規模保育の魅力に気づいている保育士は待遇ではない部分でやりがいを見出しているではないかと思います。

 

第二に、職場環境といえば人間関係の問題は大きなポイントです。

少人数の職場の場合、人間関係がうまくいかないと逃げ場を失うようなイメージがあると思います。

現にそのような園もあるようですが、とこちゃんはかなり風通しが良い方だと思います。

「とこちゃんの先生って皆さん仲良しですよね」と保護者の方によく言われますが、決まってこう答えます。

「良くも悪くもないですかね~」って(*^^*)

べたべた仲良くないし、ぎすぎすもしていない。その距離感が絶妙だと私は感じています。

年齢も幅広く、それぞれの立場やキャリア、個性が尊重されていると思います。

一方で職員会やミーティングで意見もしっかり出し合います。

みんな、保育に対する考えがとても真剣でまっすぐだからです。

少しでも良くしたい、向上心にあふれています。

向上しようという気もちをもった人たちが集まる職場、人間関係が悪くなりようがないのです。

 

第三に、労働環境を整備したことも効果を得ていると思います。

とこちゃんは昼休憩を60分、必ずとります。他園ではめったにない制度だと言われています。

会議、書類・・園児がお昼寝中にやろうとすればきりがないほどやるべきことはあります。

しかし、それをすることにより昼休憩をとらず、午後になると疲れた顔になる先生・・っていやですよね。

昼休憩をしっかりとって、リフレッシュして午後も笑顔で保育にあたってほしいのです。

そのために、書類量は必要最低限としています。職員会議は土曜日に。

日々のミーティングは効率よく手短に。情報共有のためのノートやボードも有効活用。

保育士が抱える一般的な業務の中で、直接園児に影響が及ばないものは思い切ってカット、その分を休憩やノー残業、有給取得につながるよう工夫しています。

ノー残業=終業時刻が明確化され、決まった時刻がきたら定時で退勤することをとても大切にしています。

人は誰しも、見通しがたたないことは避けたいだろうと思うからです。

すべてにおいて「見通し」を大切にしています。

 

そのひとつの要素として、有給取得率も100%です。これも他園ではなかなかできないことのようです。

とこちゃんでこれが叶えられるのは、担任が有給取得しても担任に代わるサポート役の保育士メンバーが優秀であるゆえです。なので担任も安心して有給が取得できます。

加えて、社員の有給日に入るパートさんが複数いてくれることも大きな助けです。

他園のパートさんは、人数も入る時間も少ないので、社員に代わって保育を頼むことができない=有給がとれないと言われていますが、とこちゃんのパートさんたちは最強です!

勤続年数も長いですし、日頃から若手社員を陰でフォローしてくれている存在なので、社員に代わって保育を任せて安心です。

有給を取得し、プライベートも充実させて、また笑顔で保育してね♪そんな気もちで有給取得率100%を実施しています。

 

しかしながら、まだまだ工夫の余地はあります。

全員の待遇を大幅にアップすることは叶えられないけれど、保育士の負担を減らすこと、保育士一人ひとりの個性が光る場面を増やすこと、保育士自身のプラスになること、保育士がわくわくすること、会社として何かできないかと模索しています。

 

そのひとつとして、この4月から「金曜日は会社から昼食支給」という福利厚生を導入しました。

とこちゃんでは先生が園児と一緒に給食を食べていませんでした。

先生は休憩中に各自用意した昼食(お弁当等)を食べています。

それは、給食費を先生たちのお給料から差し引きたくないからです。

(職員が園の給食を食べ、毎月の月給から何千円も給食代として差し引いている園が多くあります。)

私は そういうやりかたは大嫌いです。

職員の食の自由を奪い、休憩時間を奪い、更にはそうでなくとも低い賃金から昼食代を奪うのです。

(園によっては求人で有利になるよう基本給を高くし、実際には高額な給食費やら積み立て費やらを差し引いているところもあるようです。)

ですから、とこちゃんではこれまで先生は昼食持参としてきました。

お給料から無意味な費用を差し引くことは絶対にありません。

 

そこで、今の予算内でできそうなこと=「金曜日はとこランチの日」(もちろん無料)を思いつきました。

疲れがたまってくる金曜日は手ぶらで出勤できるように

先生たちの負担が少しでも軽減されるように

しかも、ちょっとわくわくしてもらえたらいいなという思いも込めて♪

 

先月は休憩室がバーベキュー会場に?(笑) ホットプレートでアツアツ焼きそば食べ放題!食後にアイスつき♪

ある日は子どもたちと給食を食べていいよの日。(先生も食べてる!と子どもたち大喜び☆)

ある日はおかず盛りだくさんのお楽しみ弁当。(和子さん手作りのきんぴら入り!)和子さん・・私の実母です。

ある日は吉野家の牛丼をテイクアウト!

ある日はおいしいメロンパンとコーンスープ。

メニューは予算を考えながら、みんなの希望も聞きながら♪

準備する私もすっかり楽しくなってきて(*^^*)

先生たちはもちろんみんな大喜び!(先生たち、純粋に喜んでくれます)

暑い時期はネバネバそうめんとか、たまにはマックのセットとか、冬はあったかおでんとか、

週に1度、みんなでおしゃべりしながらランチをするのもひとつの福利厚生として確立できたらいいなと思っています。

 

企業にとって「人材は人財」よくこう言われますが、とこちゃんもまさにその通りです。

保育園で、子どもたちにとって一番大切な環境は「保育士」だと思っています。

子どもたちにとって大切な存在=運営者にとっても大切な存在

私は個人的にもとこちゃんの先生たちのことが大好きですし、気づくと先生たちに喜んでもらえることを考えています。

 

他にも、とこちゃんの保育士確保策は実はまだまだありますが・・

もったいなくて公表したくない策もありますので(笑)この辺にしておきますね。

今後もとこちゃんが末永く愛情保育を維持していくためには

現職の先生たちを大事にすることと、心ある保育士を確保・育成すること

このふたつが私に課せられた大きな任務であると肝に銘じています。

これからますます、とこちゃんオリジナルと自信をもって言える保育士確保策を打ち出し、実行し、結果につなげていきたいと思っています!