我が子を保育園に預けるということ
子どもとおもちゃ
ブロック、積み木、おままごと、プラレール、トミカ、ぬいぐるみ、パズル・・・
ブロックだけでもレゴ、ニューブロック、マグフォーマー、ラキュー、大型ブロック、ソフトブロック・・・
布製、木製、プラスチック製、ビニール製、音が鳴る、光る、動く、しゃべる・・・
今のおもちゃはバラエティに富んでいます。
我が子にはいったい何を購入したらいいかと悩む、どこのご家庭でもあるかと思います。
以下はこれまでに聞いたことのある、親御さんたちのセリフです。
おもちゃを買うなら絵本を買おうかな
せっかく買うなら知育玩具を買おうかな
おもちゃなんておさがりで十分でしょ
保育園にたくさんおもちゃあるから家ではいらいよね
せっかく買ってもすぐ飽きちゃうし
すぐ違うキャラクターが好きになっちゃうし
うちは素材(オーガニック)にこだわって買い揃えてます
おもちゃなんてない方が子どもは育つ
我が家は手作りのおもちゃだけしか与えません
おもちゃって高いから買ってあげたくてもなかなか
保育園でいつもがんばってるから欲しがるとつい買ってあげちゃう
どれも親の視点、大人が読むとどれもたしかにと思います。
では、子どもの視点を想像して、子どもの声に変換してみます。
おもちゃを買うなら絵本を買おうかな⇒おもちゃはおもちゃ、絵本は絵本
せっかく買うなら知育玩具を買おうかな⇒そういうおもちゃってママが必死になるからイヤなんだよな~
おもちゃなんておさがりで十分でしょ⇒新しいのほしいなー
保育園にたくさんおもちゃあるから家ではいらいよね⇒保育園のおもちゃはいつもじゅんばんこなの
せっかく買ってもすぐ飽きちゃうし⇒一人で遊ぶのつまんないんだもん
すぐ違うキャラクターが好きになっちゃうし⇒いつまでもアンパンマン持ってたら笑われちゃうんだ
うちは素材(オーガニック)にこだわって買い揃えてます⇒いつも同じでつまんなーい
おもちゃなんてない方が子どもは育つ⇒育つとか育たたないとかボクには関係ない。今、おもちゃがほしい。
我が家は手作りのおもちゃだけしか与えません⇒手作りのもおもしろいんだけど・・それだけだとつまんない
とにかくおもちゃって高いから買ってあげたくてもなかなか⇒だから買ってって言えないんだ
保育園でいつもがんばってるから欲しがるとつい買ってあげちゃう⇒ホントはあまり欲しくなくても「買って」って言うんだ
長年、多くの子どもと、多くの子どもが遊んでいる姿と、そして多くのおもちゃを見てきたので
経験を踏まえつつおもちゃと子どもについて書きたいと思います。
まず、私たち保育士は、ひとつのおもちゃを見たら次のようなことを瞬間的かつ無意識に考えます。
・安全性(突起物はないか、ぶつかったときの衝撃度、口に含んだ時に痛くないか、飲み込んでしまう大きさではないか、色落ちしないか、消毒洗濯可能か、取り合いにならないか、壊れやすくないか等)
・構成性(他のおもちゃとのバランス、保管場所、子どもが片付けやすいか等)
・発展性(このおもちゃでどのように遊びが発展されるか、発展できるよう支援できるか等)
・教育性(発達に見合っているか、興味関心が高まるか、色彩豊かか、どのような育ちにつながるか、教育上不利益はないか等)
そして、これらが叶うおもちゃであると判断した場合、保育環境のひとつとして設定します。
しかし、あくまでも設定するのは大人(保育士)ですから、どう遊ぶかどう発展するかは子どもに委ねます。
では、保育士の皆さんは設定はするけれど、その後は子どもが勝手に遊ぶのをただ見ているだけかと言うとそれは違います。
その子が、このおもちゃでどのように遊びたいと考えているのか、よくよく子どもの姿を観察し、受け止め、気持ちに寄り添い、必要な時に必要な手助けをする、スペースが必要なのであればスペースを用意する、貸し借りがうまくできない場合は仲立ちをする、遊びこむのに時間がかかる・注意力散漫になりがちな子どもには保育士が積極的に関わり、一緒に遊ぶことで楽しみを見出すまたは遊びに集中する手助けをする、おもちゃとではなく「先生と遊びたい」という子には先生の存在自体が遊び環境のひとつと捉え、一緒に思いっきり遊ぶ。
このように、子どもの「今」の姿を、正しく深く温かく捉え、伸び伸びと発展的に遊べる環境を常に考えて構成しています。
同時に、遊びの中で見えてくる一人ひとりの育ちを逃さず認め、記録し、次なる環境を構成します。
ご家庭では、保育士のような専門的視点や関わりは必要ないと思いますが、おもちゃはただ買い与えればいいというものではないという意識が大切だと思います。
次に、手作りおもちゃについてご紹介します。
手作りおもちゃは保育士さんが作る物のようなイメージがあるかと思いますが、いえいえママも簡単に作れます。
手作りの良さは、まさに我が子の発達や好みに応じたものを創造できることと、発展性が高いところです。
ピンクとアンパンマンをこよなく愛する2歳の女の子、ピンクの下地にアンパンマンのマークを付けたおもちゃボックスを作ったらお片付けできるようになるかな~というママの意図で作ったそうですが、娘さんはすかさず、ボックスを逆さにしてテーブルに見立てておままごとをはじめたそうです。「ママ、かわいいテーブル作ってくれてありがとう!」って。壊れても補修しやすく、もちろんコストも抑えられてママもニッコリ。
電車好きな男の子が多いので保育士が牛乳パックで電車を何両も作りました。すると、女の子たちはそれに乗って歌を歌い始めます♪女の子にとっては素敵なステージに見えるのですね♪ある女の子はそれを椅子にしていました。非常に発展的です。もちろん、電車好きの男の子たちも大喜びでパック電車を走らせています。するとある先生は大きな紙とマジックを持ってきて、線路を描き始めました。男の子の目は更に輝き、ある男の子はブロックでトンネルを作り始めました。ある女の子は線路の横にピンクのマジックでお花畑を描き始めました。
手作りおもちゃは市販品にはない魅力が満載です。
一家にひとつ、いえ、ふたつみっつ、推奨します!
今はインターネットで簡単な手作りおもちゃの作り方をレクチャーしてもらえます。
保育園で生活する子どもたちは、毎日おもちゃを通して遊びを発展させ、友だちとのやりとりを経験し、
大変充実した遊び環境の中で過ごしていると言えます。
家庭ではなかなか揃えられないほどのおもちゃ量がありますし、その中から今日はどのおもちゃで誰とどうやって遊ぼうかなとワクワク過ごしています。
仮に友だちと喧嘩して一人になった瞬間があっても、おもちゃが助けてくれることもよくあります。
ひとまずブロックを組み立てて気持ちを落ち着かせ、そのあとに「ごめんね」を言いに行ったり、おもちゃで作った作品(剣や電車)を友だちに渡して仲直りしたり。おもちゃは、「人間関係をも豊かに」してくれます。
入園したばかりの頃は、ママと離れてさみしくて涙が止まらなかったけれど、あるおもちゃがきっかけで泣き止んだというお子さんも多くいます。
おもちゃは、保育園で「最初のお友だち」としても大きな役割があるといえます。
そうは言っても、保育園のおもちゃはいろいろな子が触れるから不衛生ではないかとお思いですか?
とんでもないです!!
保育園では、どの園でも衛生管理マニュアルに沿って、床掃除やトイレ掃除と同様におもちゃの消毒を毎日行っています。
布製のおもちゃは週1回洗濯機で洗濯、ベビーが口に含むものはその都度消毒。
安全面・衛生面では、ご家庭のおもちゃを上回るのではないでしょうか。
我が子を保育園に預けるということは、毎日専門家の環境構成のもと、一人ひとりに応じたかかわりの中で
たくさんの衛生的なおもちゃで遊ぶことができるということです。
私は暇を見つけてはインターネットでおもちゃ検索をしています。
今はどんなおもちゃが流行しているのか、最新のおもちゃで導入できそうなものはないか、予算と環境を見ながら、職員の意見を聞きながら、次なる導入に向けてワクワクしています。
同時に、先生たちが次にどんな手作りおもちゃを作るのか、ワクワクしながら待っています(#^^#)
ご家庭でも、「お子さんの姿をよく見て」おもちゃを選び
「買いっぱなしにしない」これがポイントです。
このおもちゃでどんなふうに遊びたいのか、どんなふうに一緒に遊んだらいいかをお子さんの姿をみながら、一緒に遊びながら考えてみてください。
「おもちゃ買ってー」なんていう年頃はあっという間に過ぎてしまいます。
子どもとおもちゃの関係性は奥深いものです。ぜひ「今」を楽しんでくださいね♪