我が子を保育園に預けるということ

子どもの躾について

躾(しつけ)という言葉。

子どもにはいつから躾けたらよいですか?

何歳から物事の善悪を教えるべきですか?

時々聞かれます。

 

「躾」と聞くととても広範囲で難しいことを教えなければならないように感じますが

乳幼児期の「躾」・・・私は個人的にこのように捉えています。

 

「躾」=「生活習慣を丁寧に根気よく教えること」

たとえば、食前の手洗い。

手を洗わなければご飯は食べられませんと教えるだけですが、大事な躾です。

たとえば、帰宅後のうがい・手洗い。

家に帰ったら洗面所に直行するだけですが、これも大事な躾です。

たとえば、食事中に立ち歩かない。

立ち歩いたらご飯はおしまいと教えるだけですが、これこそ大事な躾です。

 

なので、いつからと言われれば離乳食が始まった頃から・・ということになるのかなと思います。

離乳食は親や保育士がひとさじずつ、おいしいねと声をかけながら進めていきますよね。

そのときに、大人が慌ただしく離席したりいい加減な座り方をしていたりしたら赤ちゃんはそれを学習します。

親や保育士がひとさじを丁寧に、もぐもぐよく噛んで、離席しないでゆったりと食べさせてくれたら

一人で食べ始めるときもちゃんと座って、かみかみして食べるようになります。

食前の「いただきます」食後の「ごちそうさま」

これも離乳食の時から大人が丁寧に見せていたら自然と身につきます。

 

ここまではよしとして、次のステップが難関です。

そうそう、素直に手洗いしてるうちはいいんですよ。ごまかしがきく時期もまだいいんです。

それが、「イヤイヤ期」に入ったら最後。

今まで難なくできていたことを見事にやらなくなります。

せっかくここまで躾けてきたのに・・・

これが噂のイヤイヤ期かー、と我が子の成長も感じつつ、さぁどうする?

躾、いったんお休みしようかな。無理にさせたら大変なことになるし。

無理にさせようにもテコでも動かないし。(涙)

こんな時期にどう躾しろと言うのー??

 

保育園にはイヤイヤ期のお子さんが年がら年中います。(当然ですね)

ザ・反抗期が揃い組です。

でも先生たちは躾をお休みしたことはありません。

保育園ではお友だちの力もあります。いろいろな先生との関わりもあります。

そして、おうちの人とは違う緊張感もあります。

保育士も冷静です。

それが、一歩おうちに帰れば親子ともに感情がむくむくと出てきます。

忙しいうえに手洗いもイヤー、ごはんもイヤー、お風呂もイヤー、寝るのもイヤー!!

あの手この手でがんばってもイヤイヤの連続ですもの。

それはそれは躾もいったんお休みしたくなるのが普通です。

そこでがんばりすぎちゃうと親の方が参ってしまうということもあります。

ではどうするか。

 

ここで、いったん「イヤイヤ期」について考えてみましょう。

やだ、やだ!

イヤイヤしていると言うよりは、ちいさなからだで精一杯「自己主張」をしているように見えませんか?

言語表現が未熟なので「やだ」と表現していますが、その言葉の奥には

「おうちに帰ったらすぐ遊びたい」

「ごはんの前に手を洗うのはめんどうくさい」

「座ってなんかいたくない」

という自己主張が隠れています。

 

その気もちをうまく言葉で表現できないから「いやだ」とひとことに集約しているだけなの!

あたしにもやりたいことがちゃんとあるの!やりたい順番もあるの!

だからママ、あれこれ言わないでーー!

 

これが、イヤイヤ期の子ども側の言い分(いいぶん)のように感じています。

子どもはこうして日に日に成長していきます。

自己主張をして相手の反応を見たり、相手の気もちに気づいたり。

だから、大人だって子どもとの関わり方を日に日に進化させていかなければお子さんの成長には追いつきません。

ということは、躾に「お休み」も「後退」もないということです。躾も「進化」あるのみ♪

我が子は日々成長しているのに、大人が休んだり後退したりしていたのでは子どものイヤイヤは更に膨らむばかりです。

 

「手洗うのイヤー!」・・我が子の、その言葉の奥にあるものは何か。よく見てください。

保育園バックを置いて、これをここにしまってから手洗いに行きたいのであればそれを尊重しましょう。

甘えが足りないのなら、抱っこをしてからママに甘えながら一緒に楽しく洗いましょう。

すぐに遊びたいから手洗いNOなのなら、そのおもちゃと一緒に手洗いにいっちゃいましょう。

単にめんどうくさいのであれば、ここは無理にでも手洗いをさせましょう。←これが大事。生活習慣は実は面倒なことが多い。でも大事なんだと教えるには良いタイミングです。

特に理由が見当たらないのなら、外から抱っこでおうちに入り、抱っこのまま洗面所に直行しちゃえ!

他にも、いいにおいのハンドソープに変えてみるとか、

鏡にお子さんの好きなシールを貼っておくとか、

うがい用のコップや手拭きタオルを毎日変えてみるとか、

玄関から洗面所までのルートを迷路方式で養生テープではりつけちゃうとか、

おうちに入る直前にわざと泥んこ触って洗わざるをえなくするとか(笑)←うち、よくやりました。

 

まずは、お子さんの「いやだ」の奥に秘めた言葉に耳を傾ける。

そして、あの手この手で楽しむ。

時には型破りなやり方であってもいい。

「そうか。うちのお母さんは、何があっても僕に・私に手を洗うことを本気で教えようとしているんだな」

ということをお子さんに示していきましょう。

親の本気を教える。私は、これを躾の心得としています。

 

食事と寝る時間の躾はそれほどの工夫を必要としないでもできることだと思います。

「ごはん、ヤダ」と言うなら与えない、その後食べたいと言っても絶対に何も与えない。

これを1日徹底するだけでほとんどのお子さんがイヤと言わなくなります。

食事中の立ち歩きも同様です。

一度でも立ち歩いたらごちそうさま、その後食べたいと言っても絶対に与えない。

泣いても叫んでもあげません。

食事に関しては大人がしっかりと主導権を握り、これを徹底すれば問題ないと思います。

寝る時間も大人が管理し、この時間には泣こうがわめこうが部屋を暗くして寝かせる、この時間にはたとえなかなか目覚めなくても部屋を明るくして起こす。

そして、朝食は必ず食べさせる。

ここはどんなに嫌がっても譲らずに徹底すれば必ず習慣として身につきます。

(その代わり、週末などはここまでは起きてていいよ、などの柔軟性があると励みになりますね。)

徹底しなければ、いつになっても早寝早起き朝ごはんのない生活(=集中力・意欲に欠ける子ども)になっていきます。

逆に一度身についたらあとが楽ですよ。

 

子どもの躾には

大人が管理して徹底することと

子どもの気もちに耳を傾けつつ工夫しながら伝えていくこと

この両面があるのですが、さらにもう一点、躾のうえで大事な大事なことがあります。

 

それは、いかに子どもを「甘えさせるか」です。

「甘やかす」のではなく「甘えさせる」です。

手洗いイヤ~じゃあいいよ、危ないことだけど~やりたいならいいよ、今日はお菓子買わない約束だけど~泣くまで欲しいなら買ってあげる、ごはんやだー、じゃあパンはどう?おにぎりはどう?

これらはすべて「甘やかし」です。

子どもにふりまわされて、習慣や危険なこと、約束を教えない、わがままを増長させているだけです。

逆に言うと、生活習慣や危険なこと、約束、人への迷惑、これら以外のことは多めに見てあまえさせてよいということです。

 

たとえば、我が家の娘はいくつになっても「抱っこ抱っこ」と甘えん坊ですが、それを拒否したことはありません。

いっぱいあまえさせてます。

でも、「おんぶ」をしているときに娘がふざけて反り返り、あやうく後頭部を床に強打しそうになったことがありました。

危ないことなのできちんと叱りました。

しかし、その行為をやめずにふざけていたので、家族で話し合い、おんぶはさせないことに決めました。

「おんぶおんぶ」と何度もせがんでいましたが、「危ないことをするからも誰もおんぶはしません」と伝えました。

翌日からはひとことも「おんぶ」と言わず、「抱っこ」の連呼となりましたが(笑)

抱っこではふざけないので危なくないし、人にも迷惑かけていないし、じゅうぶんにこたえてあまえさせています。

 

別のシーンでは

娘はよく食べる方だと思いますが、ごきげんななめで食事がなかなか進まない日があります。

体調はよさそうなのに。だからと言って立ち歩いたり遊んだりはしません。

(乳児の時にしっかり躾けたので)

そこで、あまえさせてみます。

いつもは自分で食べられる(できる)けど、私がお口にごはんを運んでみます。

「あーん、おいしいね♪」「おりこうだね」まるで赤ちゃんの頃のように。

衣類の着脱もそう。

本当はもう自分でできるけれど、時にはやりたくないときもある。

そんなときは、あまえさえています。

すると翌日からまたはりきって「自分で」とがんばっています。

このように、時には赤ちゃんのように親に身をゆだねさせ、じゅうぶんにあまえさせる時間を大事にしています。

 

更に、一日の終わりは存分に、「最高潮にあまえさせる時間」にしています。

お布団のうえで、お布団のなかで、くっつきたいだけくっついて、笑ってしゃべってふざけて歌って・・

そして、満足したら最高の笑顔で寝入る。

なので、娘は毎晩嬉しそうに2階の寝室に行きます。

私自身も最高の癒しタイムになっています。

手洗い・うがい、食事にお風呂、ハミガキに着替え・・・

万年反抗期でいつも「イヤイヤ」な娘

機嫌の波が激しいうえに知的な遅れもある娘

そんな娘に生活習慣を教えるのは至難の業でした。

でも、あきらめないでよかった、親の本気を伝えてよかったと心から感じています。

同時に、娘も私たち親も躾をがんばれたのは、

ちゃんと「あまえさせる・あまえられる時間があった」からだと思います。

 

がんばる時間とがんばらなくていい時間、両方あるからがんばれる。

それは大人も子どもも一緒です。

いつもがんばらせない、いつもあまやかす、

いつもがんばる、いつもあまえさせない、

この両極端になってしまうと親子ともにつらくなってくると思います。

 

 

躾は

ポイントをおさえて(生活習慣・約束・人への迷惑・危険)

本気で(親の機嫌や都合ではなく、いつでも同じ態度で)

あまえさせながら(あまやかすのではなく)

根気よく(どのお子さんでも時間はかかるものです)

 

以上は、私が個人的に大事だと考えている自己流子育てポイントです。

しかし、あくまでも自己流を自由記載で書いているだけなので、これが正しいという自信はありません。

(そして、上記はとこちゃんの保育として実践していることではなく、あくまでも親目線で書いています。)

また、我が子を保育園に預けている時間に制約のある親御さんでも可能と思われる躾の例を書きました。

「時間がないから躾ができない」というのは言い訳になります。

仕事をしていて子育ての時間に制約があっても、我が子を想う気もちは専業主婦のお母さんとなんら変わらないはずです。

 

とこちゃんには子育て経験豊富な先生が大勢います。

保育士としてではなく「我が子の躾」で大事にしてきたことを先生たちにインタビューして

改めていろいろな考え方をご紹介したいと思っています。