親と子どものエトセトラ

もう一つの親子関係

とこちゃんWEB担当、浅野です。
今回は「親と子の関係」、親子のコミュニケーションについてお届けしたいと思うのですが、
「親と子」、とは言え、「私と子ども」ではなく、「私と親」の「大人の親子関係」について一緒に考えてもらえたら、と思います。

おじいちゃん、おばあちゃん、つまりは自分の親や義理の親に対して言いたいけど言えないこと。
そもそも言ってもいいのかしら?と思うこと。

その反対に、おじいちゃんおばあちゃんから、自分の息子や娘、そして、お嫁さんやお婿さんに言いたい、けど言えないこと。

「どう言えば聞き入れてもらえる?」
「どう言えば角が立たない?」
「これって、言うべき??言わざるべき??」
「言ってもいい?言わない方がいい?」

事の発端は、私の知人(祖父母世代)から、息子のお嫁さんとのコミュニケーションについて聞かれたことでした。

まず、その方(Aさんとしましょう)の環境についてご説明します。

・息子夫婦と同居(1F:祖父母宅/2F:若夫婦宅/玄関ひとつ)
・同居の孫2人(4歳男児:幼稚園/3歳女児:間もなく幼稚園)

聞かれたことは、大きく二つ。

① 孫はかわいい。預かるのも嫌ではない。でも、あまり頻繁だと困るし、預かってもらえて当然という気持ちでは困る。嫁がもうすぐ復職予定だが、幼稚園の送迎を任されそうで、毎日のこととなると、それは負いきれない。どう言えば相手を傷つけずにそれを伝えられるか。

② しつけや、生活態度について気になることがある。言いたい気持ちがあるが、言ってもいいものか?うまく伝える方法はあるのか?

というものでした。
どうでしょうか?あなただったら、何とアドバイスしますか?

こういうのって、なかなか難しいですよね。当事者同士の相性とか、気質とかもありますから(^_^;)。

実は私、Aさんを通じて、Aさんの息子さんや奥さんともお友達になり、頻繁ではありませんが、行き来があります。また、子どもも同年齢ですから、顔を合わせると一緒に遊んだりしています。ですから、なんとなくですが当事者二人の性格というか、気質が分かります(私の感じる範囲で、ですが)。

Aさんも、お嫁さんも、どちらも明るい性格で、人当たりよく、アクティブ。
Aさんは、言いたいことをはっきり言うこともあるけれど、後を引かない。
お嫁さんも、例えば、ご主人(Aさんの息子)と自分の意見が違ったりすると、「もう、お義母さん、どう思いますか?!」などと階下に降りて、相談(?)するようなタイプで、気どらない性格。

正直、このお嫁さんとAさんなら、あれこれありながらも、同居が可能な相性かな、と感じられます。

このように、良い関係でも(良い関係だからこそ)、同居しているからこそ、関係を保ったまま「ちょっと言いたい」のですよね。

Aさんからの問いについて、よしこ先生に一緒に考えてもらいました

①の孫の預かりについては、スケジュールを明確にして伝えるのが良いのでは、とのこと。
例えば、「水曜日はお稽古をはじめたので、預かることが出来ない」、「毎週火曜日は病院に通院することが増えそうだから、火曜日は予定を空けておきたい」、「午前中は家事をきちんとしたいから、午後からにして欲しい」、など。
もし、予定がなかったとしても、「木曜日はボランティアに行くことにした」や、「土曜日はお友達の集まりに参加することにした」など、予定があることにする。
この、「予定があることにする」方法は同居していると難しいかも知れませんが、明確に予定がある、と言われて、「いや、それでもお願いします」と言うなんて、出来ないですよね?
「そうか、おじいちゃんおばあちゃんも忙しいんだよね」と気づきにもつながります。

また、復職後の孫の送迎に関しては、「きちんと確認した方がいいですよ~」とのこと。
これは、私も同感。
もしかしたらお嫁さんは、「これまでも時々お迎えをしてくれていたのだから、復職後にお迎えをお願いしても大丈夫だろう」と思い込んでしまっているかも知れません。

この「思い込み」はとっても危険。

この前は大丈夫だったかも知れないけど、現状は変わっている、時々ならいいけど毎日は無理、ということは大いにありますし、「大丈夫だろう」、「いいだろう」で事を進めて、いざその時が来てみたら「ダメだった!」なんて事になったら、お互いに気持ちが良くないですよね。

援助が必要な場合も、援助をする場合も、どの程度なのか、いつなのか、なぜ、など明確にしておく。
こうすると後になって、「ええっ、こんなはずじゃなかったのに・・・」とバタバタしたり、誤解につながったりすることを防いでくれそうです。

続いて、②のしつけや生活態度について、気になることがある。言ってもいいのか?うまく伝える方法は?について。

祖父母世代から見ていると、「あらまぁ!」とか、「こうした方がいいのでは?」など、気になるところがあると思いますが・・・。

「そこに立ち入るのは、慎重になった方がいいと思います。家庭でのしつけや育児方針に関しては、仮に、全面的に信頼を頂いている保育士であっても踏み込めないエリアです」、とよしこ先生。

「しつけに関しては、ママやパパの思いを尊重していただく方がいいと思います。それが実の親子であっても、です。
人生の先輩として、目についたり、気になったりすることがたくさんあると思いますが、相談されたときにアドバイスする、くらいの方が良いのではないでしょうか。なぜなら、時代は確実に違うからです。オムツの性能、ミルクの成分に始まり、母乳育児に関する考え方、かつてはなかった便利なグッズも豊富、スマホ社会・・・、等々。ママやパパは今この時代と上手につきあいながら子育てをしています。おそらくどのママやパパもそれはそれは一生懸命に。
我が子の全責任を負っているのは、なんといっても親世代。便利な時代だから、なんだかスマートに子育てしているように見えるかも知れませんが、我が子を想い、必死で育てているのは今も昔も変わらないのではないでしょうか」、とのことでした。

「ただ・・・」、とよしこ先生。

「反対に、子どもを祖父母に預けている間の出来事に対して、ママやパパが不平不満を言うようなことがあってはならない、と思います。
よく聞くのが実家に預けると『あまやかされる』ということ。
私も娘の預かりを実の母にお願いしていますが、預けていると色々あります。
言いたいけど、言えないこと、沢山あります。
おしりの拭き方が甘い、かみ切れないものを与えた、頼んだのにやっていない、など・・・。

でも、祖父母に娘を預ける思いはただひとつ。『感謝』しかありません。

多くは望みません。
『大切な娘の命を今日も無事に守ってくれて、ありがとう』、です。

そして、預けている間は、食事から着替えから、おじいちゃん、おばあちゃんにぜーんぶお任せしています。

なので、お迎えに行くとおばあちゃん好みの洋服に全身コーディネートされていることもあったりします。
わわ、昭和的~~~(笑)これ着て電車乗るの~~??って思うときも正直あったりね。ま、これも思い出ってことで(*^^*)

何を食べさせたのかもあえて聞きません(うちの親は逐一報告してくれますが)。

そして、娘には『じーじ・ばーばにいっぱいあまえて、洋服も買ってもらっておいしいものも食べさせてもらって、幸せだったね』と言います」。

特に、よしこ先生のお父さんは孫に対して、もう、「甘々」なんだそうです。
おじいちゃんは、孫の言うことには、何でも「はいはい」(*^_^*)。
でも、それはそれで、「世の中には何でもOKな人がいる」ということで、「甘やかさないで!」なんて言うことはないそうです。

預けている間の子どもの命を守り、おじいちゃんおばあちゃんも、最近は元気な方が多いとは言え、老体なのに元気な子どもと遊んでくれて、おじいちゃん・おばあちゃんも元気に笑顔で過ごしてくれていた・・・、それで、OKと思うくらいがいいんですね。

祖父母に預ける基本は「感謝」、本当にそうだな、と思います。

祖父母もきっと、ものすごく緊張して、気を遣って預かってくれているから、そこに対する感謝の気持ち。
忘れてはいけませんね。

では、最後に、私たち親世代から、祖父母世代に言いにくいことを伝えたい時について、お話しします。
よしこ先生からは、「嘘も方便」というキーワードが出てきました。

自分の親に、とか、自分の娘や息子に、言いにくいことを言わなければならない時には、「嘘も方便」という言葉を念頭においてみると良いのでは、とのこと。
「嘘も方便の、『方便』ってよく言ったもので、便利で、誰も傷つけないと思うんです。言いにくいことを伝える時には、かわいい『嘘』を活用するのも一つではないでしょうか?
特に、『何それ~』と笑えるような嘘だと、その場も和むような気がします」、とよしこ先生。

例えば、孫が喜ぶからと言ってチョコレートを何個も食べさせてしまう、というおじいちゃんおばあちゃんがいたとします。

「この子最近チョコにはまりすぎて、うちではチョコしか食べなくなってしまって。あー、困った、ごはんはいっさい食べてくれなくて・・。そうだ!おばあちゃんのごはんなら食べてくれるかも。ごはんあげてみてください!」

とか?

「歯医者さんで虫歯の出来損ないがあるって言われて(虫歯がなくても)、フッ素とか塗っていて、今、家族全員で食生活の見直し中!なんです。だから私も甘い物を控えていて・・・。でもせっかく用意していただいたしホントは食べたいし、これ全部テイクアウトしていいですか?」

なんちゃって・・・(*^_^*)

こんな言い方なら、「あらまぁ、そうなの?大変ねぇ」となりそう。

浅野個人的には、おじいちゃん・おばあちゃんの家は特別!として、普段は飲まない、食べない、ジュースやお菓子を受け入れるのもあり、だと思っています(アレルギーがある、とか医者に止められている、などの場合は別ですよ!)。祖父母の家に行く楽しみになりますし、成長して足が遠のいてしまった時にも、「お菓子くれたな~」と嬉しい思い出になり、「また行こうかな~♪」なんて思うかも知れません。

さて、今回は、「もう一つの親子関係」と題して、「私と親」の「大人の親子関係」について考えてみましたが、いかがだったでしょうか?

子育てをしていると、「自分と子ども」の関係はもちろんですが、自分と親&義理の親、との関係について色々と考え、悩むこと、増えますよね(^_^;)。
親子なのに、親子だから、親子だけど、言えないこと。

ほんとに色々あります。

でも、だからこそ、「親と子」の関係では、「思い込み」を排除し、お互いを認め、感謝の気持ちを持つことが大切なのだな、と再確認しました。

今ある「大人の親子関係」は立場を変えた「未来の親子関係」でもあるのです。

ほんと、子育てってスゴイ!ですね。

2017-03-15 | Posted in 親と子どものエトセトラNo Comments »