我が子を保育園に預けるということ

男性保育士

保育園には、女性保育士と男性保育士がいます。

その中でも、いわゆるベテランと若手がいます。

 

様々な保育士がバランスよく配置されている園は、それだけで素晴らしいと評価できるのではないでしょうか。

子どもにとって最適な環境だと思うからです。

お姉さんのような先生がいたり お兄さんのような先生がいたり

ママみたいな先生がいたり パパみたいな先生がいたり

おばあちゃんのような先生がいたり おじいちゃんのような先生がいたり

それだけで毎日が楽しそう♪

ちょっと疲れた時は穏やかなベテラン先生のおひざへ

元気いっぱい遊んでほしいときはお姉さん先生を追いかけ

太い腕で抱っこしてもらいたいときはお兄さん先生の腕にとびこむ

寝るときはママみたいな先生にトントンしてもらう

 

ところが、現実はなかなか難しいです。

ベテラン保育士ばかりの園や、若手ばかりの園、女性だけの園・・・

とこちゃんも一昨年までは女性だけの園でした。

昨年、夫であるこうじ先生が入社し、今年お兄さん先生が入社、そして今後もお兄さん先生が入社予定です。

現在、弊社は正規非正規合わせて30名。

世代別では20代が11名、30代が10名、40代以上が9名。

世代のバランスとしてはだいぶ理想に近づいてきましたが、あとは男女のバランス、もう少し男性保育士が増えてほしいなと感じています。

 

ところで、今回のタイトルはその男性保育士。

今年の春ごろでしたか、ニュースやワイドショー、新聞紙面でも男性保育士のおむつ替えや着替えの件が取り上げられていましたね。

女児の保護者が男性保育士におむつ替えをしないでほしいと要望する。

 

乳児を担当する保育士にとって、おむつ替えは業務の大部分を占めていますので、その大部分をしないでほしいと言われると、どうしてよいやらかわかりません。

もちろん、そのように申し出る親御さんの気持ちもわからなくもありません。

というわけで、まずは「保育園でのおむつ替えの重要性」をお伝えしたいと思います。

 

まず、先日記述しました「給食は保育です」と同じく

おむつを交換するという行為そのものが、保育なのです。

 

排泄した尿・便の状態や頻度で、その日の健康状態をあらかた把握できます。

おむつを交換する時は、貴重な「マンツーマン」のひとときです。

一人ひとりのお子さんとまっすぐに向き合うことができます。

目と目を合わせてゆったり話ができます。語りかけもたくさんできます。触れ合えます。

便秘がちのお子さんにはお腹をそっとマッサージ。

脚力が弱めのお子さんにはおむつ替えのあとにそのまま足のマッサージを。

なんだか元気がないお子さんにはくすぐりあいっこをして気分転換を。

触れながら、都度体温を触診チェックしていますし、咳き込みがあるお子さんにはおむつ替えの際にさりげなく胸の音を聞きます。もちろん、お尻の荒れや発疹等の健康状態の確認もしています。

そして、トイレトレーニングが始まったら、ますます保育士の腕の見せ所です。

一人ひとりのタイミングや間隔を記録し、トイレで排泄できる気持ちよさを感じられるよう、お手伝いします。

無理せず根気よく。

そんな中、初めてトイレで排尿できた時の喜び、お子さんと一緒にその感激を共有します。

トレーニングの際は衣類の着脱も伴います。

一人ひとりの発達に応じて、自分で着脱できるよう段階的に手助けしたり、着脱しやすいようにサポートしたり励ましたり褒めたり盛り上げたり。

排泄後の手洗いも同様です。トイレに行くようになれば、用が足せても足せなくても必ず手を洗います。

丁寧に洗えているかな、手の甲までタオルで拭けたかな。

 

おむつ替え・トイレタイムのひとときは、一人ひとりのお子さんと密接に関わることのできる時間であり、

一人ひとりのお子さんの体調把握や育ちを実感する、大変貴重な時間なのです。

 子どもにとっても褒めてもらえたり深くかかわってもらえたりと嬉しい時間だと思います。

 

それを、ある保育士に限り「しないでくれ」と言われたら、その保育士はその時点で「保育士」ではなくなります。

プロのおむつ替えを軽視されたら困ります。

そのくらい、保育士のおむつ替えは専門的であり、保育園の生活において重要な行為なのです。

 

たとえば、もし娘さんが救急車で搬送されたときに男性看護師が衣類を脱がせたら拒否するのでしょうか?

それと同じです。

男性保育士のおむつ替えはプロとして行っていることにもかかわらず、看護師のそれとは違うと言われたら、

その真意を我々保育士が納得できるよう説明していただきたいくらいです。

 

ただ、そのような意見を全面的に否定しているわけではありません。

 

おそらく、男性保育士のおむつ替えに抵抗を感じる親御さんは「何か」がご心配なのだと思います。

そこに、心配になる漠然とした「材料」がおありなのかなと思います。

これまでとこちゃんには男性保育士がいなかったのでこのようなご意見をいただくことはありませんでしたが、今後このようなご意見がありましたら、よくよく何がご不安なのか、どこに原因があるのかをお聞かせいただき、対応したいと考えています。

 

たとえば 

この男性保育士の身だしなみが何かを連想させて不安である

この男性保育士の話し方が信頼おけない

このトイレが閉鎖的で二人きりにさせたくない

など

 各ご家庭にはそれぞれの背景や事情もありますので、よくお話を伺い、園として対応ができる範囲で精一杯工夫・改善していきたいと思います。

 

現在、保育の専門学校や短大の保育科には男子生徒が増えているそうです。

今後も男性保育士は増えていくでしょうし、これまでは「経済的に保育士では生活できない」と諦めていた男性の潜在保育士も処遇改善とともに保育界に復活する方も多いことでしょう。

 

我が子を保育園に預けるということは、男性保育士におむつ替えをお願いするということ。

男性でも女性でも保育士にとっておむつ替えは重要な業務の一貫であり、子どもたちにとってもおむつ替えのひとときは先生との貴重な時間であることをご理解いただけたらと思います。